熱海の別荘

友人が中古別荘の購入と移住を考えており、中古販売物件の内覧に同伴している。仕事ではなく遊びを兼ねてといったところ。

インターネットでの情報ではわからないことも多く、実際に観ると建物の良し悪しは明らか。倒壊の危険があるような物件も平気で売られてたりする。逆にお買い得な物件は迷っているうちにすぐ売れてしまうので、即決できる目利きを養うことが重要となる。

その目利きについてだが、自分が建築の専門家であることはさほど関係なく、とにかく沢山の物件を観ることで養われていく。資産価値の緩やかな下落の続く別荘物件が今後どうなっていくかは自分にはよくわからない。

先日訪れた熱海にある中古販売物件は建築界の巨匠、故吉村順三氏が設計、竹中工務店が施工した住宅だった。海を一望できる高台に建つ鉄筋コンクリートの住宅。中に入ったときのスケール感、外の景色、桂離宮を彷彿とさせる細部のプロポーションなど、今でも色褪せない魅力は他の物件とは段違いだった。建物の状態も良く、あえて不満をあげるなら原設計から3代ほど住み変わっており、当時の仕上げの一部が新建材に代わっていたことだが、これを復元するのは比較的容易で楽しめる要素にも感じた。

この建物が土地建物込みで1500万。友人には即購入を勧めた。友人もかなり前向きの様子。

しかしタッチの差でその日の午後には他者に購入されてしまった。逃した魚は大きかったか?